風邪とは
風邪は誰でもかかるありふれた病気、一年に数回かかるといわれていますが、一口に風邪といってもその症状は様々です(熱、頭痛、鼻水、咳、痰、全身倦怠、食欲不振、関節痛、のどの痛み、腹痛・・・等々)。
風邪の原因のほとんどはウイルス性です。そのウイルスを殺せる抗ウイルス剤はありません。自分自身の身体(人間が本来持っている自然治癒力、風邪に対する抵抗力=免疫力)がウイルスに打ち勝った結果風邪は治っていきます。
ですから風邪を治すのは、薬ではなく、自分自身の風邪を治そうとする力(風に対する抵抗力)を応援するために、養生する(きちんと体を休ませる)ことが一番の治し方といえます。
そして風邪にかかりにくい・かかっても軽く済んだりするために、日頃から免疫力のつく生活習慣をおくることが大切です。
風邪の対策
風邪を防ぐために、風邪にかかりにくい、かかっても早く回復させるためには、日頃の養生を心がけましょう。
日頃から風邪に対する抵抗力をしっかりつけておくために、充分な休養とバランスのとれた食事、ストレスを溜めない、規則正しい生活を心がけ、適度な運動で体力をつけておくことが大切です。
◇風邪を防ぐために◇
- 気温の低下に気をつける(身体を冷やさないように)
- 入浴後・運動後は身体を冷やさないように
- 室内の保温と加湿に注意する(風邪ウイルスは乾燥と低温を好みます)
- 外から帰ったら、手洗いやうがいをする
- 人ごみをできるだけ避ける(マスクをする)
- 栄養を充分に取る(ただし、食べ過ぎには注意)
- ぐっすり眠る
- 乾布摩擦で皮膚を鍛える
◇風邪にかかったら◇
- 充分な睡眠(自然治癒力を湧かせて病状の回復を早めるために必要です)
- 適度に水分の補給を(熱が出ているときは水分が不足しがちです)
- 消化の良い食べ物(風邪治癒のポイントは胃腸を大切にすることです。胃腸に負担のかからないものを)
- 保湿・保温につとめる(室温20~25度、湿度60~70%が良いようです)
風邪薬の使い方
栄養をとってきちんと体を休ませることが一番の薬になりますが、忙しい毎日、なかなかそうもいかない時もあります。そこで、風邪での薬の使い方を考えてみましょう。
風邪薬を飲むというのは、流れ出る鼻水や、せきを止めたり、熱を下げてツライ症状を抑えたいからです。
しかし、鼻水やせき、熱などの症状は、ちゃんと必要があって、身体が出しているものなのです。ウイルスの刺激や毒性が、身体に悪さをして起きているものではなく、風邪を治すための体の反応なのです。それを無理矢理止めるのは、本当はあまり良いことではありません(ただし、肺炎などの重い合併症を引き起こすおそれのある場合は医療機関で早めの診断が必要です)。
栄養をとってきちんと体を休ませることが一番の薬になりますが、忙しい毎日、なかなかそうもいかない時もあります。そこで、風邪での薬の使い方を考えてみましょう。
漢方ではこう考えます
漢方療法では、風邪のつらい症状を抑えることのみを目的にするのではなく、人間の病気と闘う力、自然治癒力を湧かせて、身体の歪みを元に戻して風邪に抵抗できる体力をつけることに重点を置きます。
漢方医学と現代医学のそれぞれの効果について比較しますと・・・
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漢 方 医 学 |
現 代 医 学 |
選薬方法 |
難しい |
簡単 |
飲み方 |
湯剤 飲みにくい |
カプセル・錠剤 飲みやすい |
解熱効果 |
弱い |
強い |
現代人(体力のない人)の治療 |
優れる |
劣る |
こじれた風邪の治療 |
優れる |
劣る |
治癒の経過 |
比較的自然 |
不自然 |
薬による胃腸障害 |
少ない |
多い |
副作用 |
少ない(但し選薬の誤りは多い) |
多い |
予防効果 |
優れる |
劣る |
◎風邪治療に使用される代表的な漢方処方
現代人の風邪を考えると漢方療法が優れているようです。
しかし、漢方療法も病人の身体の状態を考えないで安易に使うと、かえって身体に負担をかけてしまうこともあります。
今でも風をひいたら葛根湯・麻黄湯・小青竜湯といった麻黄を含む処方がよく使われています。
昔の人は、内臓が強く、体力があったので、風邪をひいて起こすアレルギー反応を麻黄で抑えることによって、効果的に治すことができました。
しかし、胃腸の弱い、虚弱な人が増えている現代の人には、麻黄を含んだ処方を服用することは、かえって身体に負担を与えることになってしまいます。
漢方療法も使い間違えれば副作用が出ます。現代人の多くは胃腸が弱いことを忘れてはなりません。
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